1.値引きが事業に及ぼす影響

 今日は値引きが事業に及ぼす影響について考えてみようと思います。このブログでは再三値引きはすべきでないということを書いて来ました。もちろん値引きをした結果たくさん買ってくれて、営業利益が以前よりも増すのであれば、値引きは正義ですがそういったことは今回取り上げません。では早速具体的にあるケースを考えていきましょう。

2.突然A社が値引きをしてほしいと言って来た

 ある日、取引先のA社の社長から自社製品の値引きをしてほしいという依頼がありました。A社は普段から取引量も多く、優良顧客であったため値引きの要望を受け入れました。現在A社は100万円の売上があり、それにかかる費用は70万円、そのため利益は30万円です。ここから20%の値引きをして80万円で売ってあげることにしました。そのため利益は10万円となりました。今回の値引きはA社だけに限った特別措置にしたかったため、A社の社長には他言しないよう念を押して置きました。

3.B社からも値引き依頼が来た

 しかしなぜか取引先のB社からも値引き依頼が来てしまいました。依頼のタイミングがあまりにも近かったため、A社の社長に問い合わせると、どうもA社の社員が誤ってB社に値引きをしたことを話してしまったようです。そのためB社の値引き依頼を受けざる得なくなってしまいました。B社の売上は50万円、費用は35万円、利益は15万円です。これを同様に20%OFFにして40万円で売りました。そのため利益は5万円になってしまいました。

4.その後の展開

 A社の社長は「私自身は漏らしていない、社員が勝手に言ってしまったので今回の件は事故なんだ。」と主張していました。しかしながら会社で起こったことは全て社長の責任であるという考えを持っていたあなたはそのA社との取引を止めることにしました。

5.いくら損したのか?

 ではそもそも値引きをしなければいくら損しなかったのか考えてみましょう。A社のもともとの利益30万円とB社の値引きによる利益の減少分10万円という合計40万円の利益を失ってしまいました。もしA社からの値引きを最初に断った時、A社が取引を止めると言い出した場合、逸する可能性のある利益は30万円だけです。つまり値引きを要求して来た時点で断っていた方が、逸失利益は少なかったことになります。これが私が値引きを推奨しない理由です。もちろんその後も値引きをした価格のままA社と取引を続ける場合は結論が逆になります。特にBtoBのビジネスの場合は社長同士が横で繋がっている場合も珍しくありません。こちらが値引きしたことは他の社長にも伝わっていると考える方が自然です。しかも今回値引きを受け入れてしまったため、「値引きをしてくれる会社」というスタンスがB社に伝わってしまい、B社は次に値引きを期待して購入をなるべく先送りにする可能性すら発生してしまいます。またA社の業績が悪くなってしまってどうしても助けてあげたいと思った場合も同様です。A社の社長がものすごくいい人で普段からお世話なっているという場合でも、業績が下降してしまうということは「業績が下降する経営をしてしまっている」ということなので法人としてのお付き合いはできないということなのです。もしどうしても支援が必要であれば、個人としてポケットマネーを貸してあげるなどの方法は良いと思います。もしくは分割で支払ってもらうかです。しかし法人同士のお付き合いを続けることは難しいと思われます。よくドラマなどで「うちが苦しかった時、御社は助けてくれた。」というようなシーンがありますが、一度下降し始めた売上を元に戻すことは容易ではありません。
 このように値引きによる弊害は思いの他大きいので、もしどうしても値引きをしたい場合は、費用を恒常的に下げることができる場合など採算面の問題を必ずクリアしてから実践しましょう。先に値引きをして「たくさん買ってもらえるはずだ。」とか「たくさんのお客さんを獲得できるはずだ。」という見込みだけで値引きを実践するのは絶対にやらないように注意して頂きたいと思います。