1.創業メンバー、社員は全員辞める

 今日は高い給与を支給することについて取り上げたいと思います。給与と一口に言っても、歩合給であったり、固定給であったり種類は様々あるのですが、ここでは固定給について考えたいと思います。一般的に創業時のメンバーや社員はいずれ全員辞めてしまうと言われます。それでも創業時から高い給与を支払う必要はあるのでしょうか?

2.社員側から見た給与

 まず社員にとっての給与です。一般に社員にとっての給与は高い方が良いと考えて、就職活動をされる方が多いかと思います。もちろん「学ぶために働く」という方もいらっしゃる方とは思いますが、「じゃあボランティアで来てよ。」と言われれば、なかなかYesとは言い難いでしょう。一部、オンラインサロンで会費を払って働くような価値観も生まれてきてこの限りではないのかも知れませんが、一般的な価値観ではないでしょう。会社によっては労働組合があったり、外部の団体に属していたりすることで、交渉される方もいるかも知れません。社員側は給与を上げてくれれば、家事や育児を外注することもできるし、自己啓発にも費用が割けるので結果的に仕事にもプラスの影響があり、会社の業績も伸びると考えています。

3.経営者側から見た給与

 次に経営者側から見た給与です。経営者にとって給与という固定費は最も重たい経費の一つです。この経費を高く設定するということは簡単に会社が傾くということを意味します。一般に経営者が給与を高くするインセンティブは「取りたい人材が取れない」時のみ発生します。新しいサービスを開発するための根幹となるブレーンがいないとか、極めて販売力のある社員がいるなどある程度目的があって、上げる場合がほとんどです。一般に経営者は社員の給与を上げることにメリットを感じていない場合がほとんどです。仮に給与を2倍に引き上げたからと言って、翌日から継続して2倍の売上を達成し続けてくれるわけではないことが分かっているからです。もちろん経営者の方にも給与が高い方が良いと考える経営者もいれば、低い方が良いと考える経営者もいます。

4.最初に高い給与を設定できなければ、業績が伸びても高い給与を支給することはできない。

 仮に給与を上げてやりたいと思っている経営者も一定数いらっしゃったとしても、結果的に上げることができないジレンマが存在します。日本の税制は規模が大きくなるほど、社員数が伸びれば伸びるほど、税負担率が上がるような仕組みになっています。そのため経営者側が「会社が大きくなったら必ず、給与を上げてやるから。」という思いを持っていたとしても、これらの負担額が比例して増えていくため、年間の予算や目標をクリアすることはできなくなってきます。もちろんそれらを度外視して強行的に上げるという方法もなくはないですが、組織化が進んでしまうとそういったリーダーシップは取れなくなるのが通常です。当然、仕入れや設備の購入などには規模経済が働き、ある程度原価や費用の低減は見られるものの、将来的な負担率の上昇の方がバイアスとして強く働きます。基本的に給与の高い低いはその企業の業種、高付加価値のビジネスモデル、経営者の能力、国全体の経済力などに依存します。

 一般的に企業規模が大きくなればなるほど、高度な知識を持った人材(少人数)を高待遇で受け入れた方が、経営効率が高くなる場合が多いので、ベストな選択としては、その時々で必要になった人材にだけ高額の給与を支払い、そのノウハウを組織全体に実装することで十分ペイできるというのが最も効率的なようにも思えます(ノウハウによる費用低減は売上の逓増よりも継続して機能することが多いため)。社員全員に高額給与を支給できるのならそれがベストですが、これは経営として最も難易度の高い選択であり、経営者側は常にお尻に火がついた状態で、毎日、毎日頭を捻る必要があり、恐らく気が休まる時ないでしょう。しかしながらそういった経営者は周囲からノウハウ提供などのサポートを受けやすくなるという側面があり、結果として好循環が生まれる場合もあるようです。